回収した証拠から生まれた船が、偽りのSOSを追って宇宙へ飛ぶ。創作です。

ふかまっくすは回収した電池と返還エネルギーを、安全な動力核へ組み直した。アンカレシップが完成する。

動力核が、海ではない方向から届く信号に反応した。光の粒は星の間隔だった。

助けか、罠か。無視はできない。五人は同じ街にいる観察者の手口を思い出した。

赤い船体が海辺の塔を越える。五色の光が、福岡から宇宙へ伸びた。

窓に五つの顔が並び、川と街が一本の線へ遠ざかる。

床のない場所では、いつもの踏み込みが使えない。りょうたは浮く水滴から重心を学ぶ。

たえが船の回転を拍へ変え、ゆうすけが反動を蹴りへ乗せた。

SOSの中心にいたのは、岩と牙のスペースモンスター。助けを装い、近づく者を砕く。

巨大な拳が船体へ迫る。宇宙でも、敵の狙いは人の動きを止めることだった。

ふかまっくすが動力の道を描き替え、限られた力を必要な場所へ送る。

たえの合図で船が回り、けんたの青い盾が衝撃を受け流した。

ゆうすけが命綱を背に飛び出し、偽信号を守る牙を蹴り折る。

開いた中心へ、りょうたが五色の渦を率いて進む。

アンカレ・コズミックストライク。偽りのSOSが星の砂へほどけた。

帰る場所があるから、遠くへ行ける。アンカレシップは福岡の夜へ降りていく。

計器に電池の形だけが灯る。型番はない。初めての空白を、りょうたは見逃さなかった。
つづく