※ この物語はフィクションです。
最初の敵が、最初と同じ角度で戻ってきた。
復活戦の熱は、弱さを否定することではなく、弱さを悪用する相手を止めることに置く。
時空の裂け目が閉じた翌日、運動キライダー本人が最初の玉座へ戻る。

福岡の空が甘く濁り、お菓子の玉座が最初と同じ角度で組み直された。

今度の運動キライダーは透けていない。遠隔投影ではなく、本人が新しいリモコンを持っている。

第10話で壊したのは投影。第16話で見たのは遠隔操作。目の前の重さだけが、本体の証拠だった。

リモコンが鳴り、怠けの霧が街へ広がる。
運動キライダー疲れているんだろう。もう、ずっと座っていろ。

人々の足元へベンチとソファが生える。自分で立つ感覚が、家具の形に閉じ込められる。

五人が霧の前へ出る。
りょうた休むのは悪くない。いつ休み、いつ動くかは、自分で決める。

新しい光が五人の色を濁らせる。同じ手口を、キライダーは強くして繰り返した。

同じ敵でも、同じ五人ではない。足の裏には、二十話ぶんの汗が残っている。

新しい外殻の中にも、第1話と同じ電池回路が見える。キライダーは同じ手を強くしただけだった。

仲間がつないだ蹴りがキライダーの守りを開く。十数話で鍛えた一撃は、もう迷わない。

舞い、波、蹴り、線。四人が玉座の中央へ、りょうたのための道を作った。

ゆうすけが、電池、砂時計、白い残光、時間メダル、宇宙の波形が示した道を走る。

その道へ五人の拳が届く。積み重ねた時間が、キライダーの停止命令を上回った。

玉座は崩れ、リモコンが割れる。運動キライダー本人との戦いは、ここで終わった。

霧が引き、人々は自分の足で駅へ歩く。救われた街ではなく、また動き始めた街だ。

割れたリモコンと同じ電池。事件は止まった。だが設計者の空欄は残る。
第1シーズン 完
未解決記録
戦いのあと、割れた電池の白い点が初めて消えずに灯った。『四人と空欄一つ』の記録を載せた信号は海へ抜け、まだ誰も知らない優しい声の準備を始めた。