※ この物語はフィクションです。
電池と砂の間に、髪より細い白い光が浮かんだ。
頑張っているのに減っていく感覚を、誰かの弱さにしない。敵の仕組みにする。
落ちない砂が白い残光を呼び、今度は街から活力が吸われる。

翌朝、電池と砂の間に、髪より細い白い光が浮かんだ。

公園の声が細くなる。胸から伸びた白い糸が、空へ吸い上げられていた。

たえは倒れかけた子どもを支えた。遅さではない。生きる勢いそのものが抜かれている。

紫の渦口と吸管の腕。エナジードレインが、人の活力を一つの核へ集めていた。

五人の色まで白い糸になって引かれる。立っているだけで、息が二つ要った。

青い光に、見知らぬ少年が映った。
タクヤ未来から、この力を預ける。奪うためじゃない。返すために。

五つの拳の内側に、同じ青い光が灯る。預かった力は、五人の中で分けて守られていた。

吸われる人々の前で、五人は一歩止まる。力は、奪われる前に分け合える。

けんたが足場になる。大きな力ではなく、崩れない姿勢が全員を前へ送った。

たえとゆうすけが、戻り始めた光から人々を守る。力は奪い返さず、持ち主へ返す。

吸引に逆らって、りょうたとふかまっくすが核の正面へ進む。

五色の熱が青白い一本へ変わる。エナジーブースト。

返す流れが渦を詰まらせ、紫の核を内側から割った。

白い光が胸へ戻る。人々は大きく息を吸い、自分の名前と歩幅を取り戻した。

砂の上には、糸ではない白い残光が一本だけ残った。

白い糸は消えた。消え方だけが、誰かに預けたように見えた。
つづく
未解決記録
奪われた活力は消えていなかった。装置には『停止候補時刻』として圧縮され、まだ起きていない誰かの疲れと結び付けられていた。