※ この物語はフィクションです。
糸をたどる間に、最初の敵が帰ってきた。
一度乗り越えた弱さほど、油断した日に戻ってくる。そこを最終決戦の熱へつなげる。
卸の糸をたどる間に空が緑へ濁り、最初の男が同じ場所へ戻った。

無料の袋から卸へ。卸から電池の店へ。細い糸の先で、空が緑に濁った。

玉座は、第1話とほぼ同じ位置に組まれていた。わずかなずれまで、あの男らしい雑さだった。

けんたが海を見た。潮の匂いに、甘すぎる霧が混じっている。

お菓子の玉座、リモコン、同じ笑み。運動キライダーが帰ってきた。

運動キライダー動かなくていい。動かないほうが、楽だ。

霧を吸った人の足元に、ソファが生えた。足が家具になり、街の音が止まる。

けんた甘い匂いだ。腹じゃない。足が重くなる。

同じリモコン。同じ乾いた音。でも、五人の足はもう第1話とは違う。

土間の靴が五足。最初と同じ数が、今度は積み上げた時間を持っていた。

五人は霧の中を走る。止められた日常を、一つずつ踏み直すように。

たえのステップが道を開き、ふかまっくすが玉座までの最短を示した。

リモコンが光る。その前に、五人の拳と足が同じ拍へ重なった。

舞い、波、蹴り、線、拳。ばらばらだった日常が、一つのリズムになる。

全員キックボクシング・スピリット・バースト。

霧が割れ、ソファが消えた。人々は自分の膝を見て、立ち上がる。

同じ型番の電池が残った。倒した敵の奥に、まだ設計者の影がある。
つづく
未解決記録
砕けたリモコンから、戦闘結果だけが海の方向へ送信された。敗北ではなく、五人と市民がどの瞬間に動き直したかを持ち帰る信号だった。