※ この物語はフィクションです。
今度は、無料の袋が公園に並んだ。
我慢の話にしない。食べる楽しさと選ぶ強さを、同時に残す。
旗の裏の電池を確認した翌日、今度は子どもの口が狙われた。

公園のベンチに、甘い袋が並び始めた。次の敵は、口から街へ入る。

ハンバーガーの頭、ソフトクリームの影、骨の飾り。過食魔団が無料の袋を渡していく。

袋の取っ手が、子どもの指に赤い跡を残した。

ゆうすけ許せない。

袋を奪うのではない。手が伸びる先を変える。たえは、先に答えへ着いた。

五人はアンカレッジへ戻り、袋に対抗する皿を考えた。

土間には、もう一足。画面を離れたさとるの靴は、灰色からオレンジに変わっていた。

たえは野菜を差し出す。正しさではなく、選べる楽しさを戻すために。

たえが皿を組み、ふかまっくすが配置を描く。けんたは海風の通る広場を選んだ。

白いテントに、野菜と出汁の湯気が並んだ。油とは違う匂いが、広場へ流れる。

たえとりょうたが皿を渡し、さとるは列の端で次の皿を運んだ。

子どもの手が、袋ではなく、緑の葉と温かい皿へ伸びる。

袋はまだある。けれど、手の向きが変わった分だけ、過食魔団は弱くなった。

けんたよくやった。終わりじゃない。次に備えろ。

袋の内側に、小さな製造シール。番号の先に、市内の卸が浮かんだ。

皿に小さな手形が残った。食べた証拠ではなく、選んだ証拠だった。
つづく
未解決記録
無料の袋は、食べさせるためだけに置かれたのではない。誰が手に取り、誰が戻し、誰が他人へ譲るか。公園全体が選択の測定器になっていた。