※ この物語はフィクションです。
次は、光がある場所から暗くなった。
ちゃんと生活しているのに沈む夜。説明しづらい不調を、影の侵略として見せる。
壊れた腕時計の中には、光を嫌う小さな反射板があった。

腕時計の反射板が、次の異変を告げていた。光を奪う敵が来る。

停電ではない。電力の記録に欠落はない。欠落がない闇が、街を覆った。

ふかまっくすが影の模様を壁に貼る。明るい蛍光灯の下でも、模様だけが濃かった。

棚の記録には、灰色のパーカー。顔は見えない。電池を買った人物と同じ体格だった。

最初に消えたのは、街灯の足元だった。灯りは点いているのに、光だけが届かない。

シャドウインベーダー影に隠れた悪意で、この街を侵略する。

窓が内側から黒くなり、人の顔が照明の外へ沈む。影は、存在を折っていく。

黒い糸が足首へ絡む。動けないのではなく、自分の輪郭が薄くなる。

たえの足が重い。けんたの板は沈み、ふかまっくすの線は途中で切れた。

りょうたこのままでは、街が消える。

ふかまっくす闇が強いんじゃない。光の角度が、ずらされている。

ゆうすけが鏡を起こし、けんたが板で最後の陽を拾った。

りょうた光輝くITビーム。

白い線が影の目を貫く。黒い糸が、ほどけていく。

街灯が、咳き込むように点いた。博多の夜が、また色を持つ。

黒いフィルムが残った。影は消えたが、貼った誰かは近くにいる。
つづく
未解決記録
影は五人の輪郭を学習していたのに、赤だけを最後まで正しく写せなかった。りょうたの影には、観測用の白い点が定着しない。